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ECB、物価目標「2%」に変更 上振れを容認 - 日本経済新聞

独フランクフルトのECB本部

【ベルリン=石川潤、ロンドン=篠崎健太】欧州中央銀行(ECB)は8日、2020年1月から実施してきた金融政策などの戦略検証の結果を公表した。物価目標を「2%未満でその近辺」から「2%」に変え、一時的な上振れを容認する姿勢を明確にした。物価が基調として本格的に上がるまで、より長く緩和を続ける構えだ。金融政策の運営にあたって気候変動対策も考慮し、資産買い入れや銀行監督などを通じて積極的に役割を果たす方針も示した。

戦略検証の最大の焦点が物価目標の扱いだった。「2%未満でその近辺」だとECBが2%超えを許さず、早めに金融緩和の手じまいに動くのではないかという臆測を招く恐れがあった。ラガルド総裁は記者会見で「新たな表現は曖昧さを取り除き、2%が上限ではないと断固として示すものだ」と強調した。

ECBは声明で「中期的に2%をめざすことが物価安定に最善」とし、新たな物価目標は上下両方向に目配りするものだと説明した。物価の上振れ(インフレ)だけでなく下振れ(デフレ)への警戒を鮮明にした形だ。下振れが定着する恐れがあれば「特に強力で粘り強い金融緩和が必要になる」と指摘。物価が「一時的に目標を上回ることもあり得る」とし、金融政策を柔軟に運営していく構えをみせた。

ECBが物価目標を変更するのは、欧州でも物価の上がりにくい状況が続いているためだ。足元の物価上昇率はエネルギー価格上昇の影響などで2%程度にまで高まっているが、特殊要因がなくなる22年以降には再び1%台に落ちるというのがECBの見立てだ。

低インフレの状況が続けば、企業や家計は物価が上がらないということを前提に行動するようになる。投資や消費に消極的になる恐れがあり、そうした行動の変化がさらに物価を上がりにくくするという悪循環に陥るリスクが指摘されていた。

米連邦準備理事会(FRB)や日銀、英イングランド銀行はすでに物価2%からの上振れを容認しており、ECBも足並みをそろえた形だ。秋以降、コロナ危機対応で実施している金融緩和策の縮小に向けた議論に入る見込みだ。ただ、物価の力強い上昇が確認されるまでは緩和的な金融環境を維持するとみられている。

戦略検証では、今後も金利を最も重要な金融政策手段としていくことを確認した。国債などの資産購入や、金融機関への長期資金供給なども「ツールキットの不可欠な一部だ」と述べ、必要に応じて活用していく構えを示した。

中銀として脱炭素の取り組みを強化する戦略もまとめた。「金融政策の枠組みに気候変動への配慮をさらに組み入れていく」とし、社債の買い入れや担保の受け入れで気候変動リスクを考慮する方向だ。企業に気候変動関連情報の開示充実を促し、資産のグリーン化を進める。

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2021-07-08 11:15:19Z
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