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資生堂は、ドラッグストアやスーパーなどの量販店向けに展開する低価格帯の日用品事業を、欧州系大手投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに売却する方向で最終調整に入った。売却価格は1500億ー2000億円の見込み。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。
複数の関係者によると、近く取締役会を開いて正式決定する方向で調整している。売却するのは、同社が「ライフスタイル」と位置づける事業で、へアケアブランドの「TSUBAKI(ツバキ)」や、低価格帯のスキンケア、ボディーケア商品などが含まれる。
同社株は22日、売却報道を受けて前日比4.4%高の7072円で寄り付いた後、一時6.5%高の7218円と昨年11月10日以来の日中上昇率となっている。
岡三証券アナリストの大花裕司氏は、ライフスタイル事業の売却は妥当と指摘する。「魚谷社長は以前から資生堂は1000円以下の商品を手がける会社ではないと語っており、パーソナルケア売却はあり得ると思っていた」とした上で、「今回はブランドの見直しに踏み込み、他の地域の構造改革も進むのではないか」との期待感を示した。
同事業は、日本国内を中心に中国やその他アジア地域で展開。2019年12月期には約1000億円を売り上げ、全体の1割弱を占めた。CVCには同事業の国内・海外部門、関連する子会社も一括して譲渡する方向だ。CVCは、資生堂の同事業が中国やアジアで高い競争力を持つと判断し、同ファンドの持つネットワークを利用することでさらに事業価値を高める狙い。
ブルームバーグがアナリスト17人の予想を基に集計した資生堂の前期(20年12月期)の営業損益は37億円の赤字(前の期は1138億円の黒字)。同社は昨年5月、20年1-3月期の決算発表を受けて非中核事業の売却など抜本的な構造改革の方針を打ち出していた。
売却するライフスタイル事業は増益基調を維持しているが、競争激化などを踏まえて非中核事業と位置づけた。14年に同社初の「プロ経営者」として社外から社長に就任し、大胆な改革を進めてきた魚谷雅彦氏の真価が問われる大きな決断となる。
同社は今後も事業ポートフォリオの見直しを進め、デパートや化粧品専門店などで販売する収益性の高い高価格帯ブランドや、デジタル技術を活用した非対面販売に経営資源をシフトし、業績の回復と成長路線への回帰を目指す。
資生堂グローバル広報部はブルームバーグの問い合わせに対し、当社が発表したものではないとコメントした。CVCはPR会社を通じてノーコメントとした。
(アナリストの見解と株価の動きを3段落以降に追加して更新します)
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2021-01-21 23:00:00Z
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