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武漢の邦人、緊迫の帰国 「新型肺炎、早く沈静化を」 - 日本経済新聞

新型コロナウイルスによる肺炎で、公共交通機関の運行停止という異例の措置に踏み切った中国湖北省武漢市。23日に直行便で同市から帰国した在留邦人らは「早く沈静化してほしい」と声をそろえた。中国では24日から春節(旧正月)に伴う大型連休が始まり、訪日客の増加が見込まれる国内観光地は感染拡大を防ぐ取り組みを急いでいる。

23日午後、成田空港に武漢市からの直行便が到着し、マスクを着用した乗客が次々に到着ゲートに現れた。

「予定していた飛行機でちゃんと帰ってこられるか心配だった」。現地企業で働く日本人男性(57)は安心した様子で話した。同日朝に移動が制限されることをニュースで知ったという。

20日から従業員全員が出勤停止となり、男性は買い物にも行かず自宅を3日間出なかった。2月3日まで神奈川県内の実家に滞在し、その後は武漢市に戻る予定だが「このままだと戻れるかわからない。仕事に支障が出るので早く沈静化してほしい」と願った。

武漢市に駐在中の製造業で働く日本人男性(48)も同じ便で一時帰国した。「午前中に空港が閉鎖したので、ぎりぎりの帰国になった。空港で足止めを食らっている同僚もいるんじゃないかと心配だ」と案じた。

「自分も感染していない保証はない」と日本でもマスクの着用を続けるという。迎えにきた妻(49)は「心配していたが、まずは元気そうな顔を見られてほっとした」と話した。

「昨日から市内の商店などはすべて閉まって、出歩く人も全然いなくなった」。自動車関連の会社に勤め、武漢市に駐在中の50代の日本人男性は現地の状況をそう説明する。「地下鉄やバスもストップし、コンビニやスーパーにも商品がない状況だった」。男性の中国人の友人らは、春節に親戚などで集まる予定を中止していたという。

春節に伴う24日からの大型連休は例年、訪日客が大幅に増える。年間を通じて多くの中国人観光客が訪れる神奈川県箱根町は、感染防止の対策強化を急いでいる。

箱根町観光協会は宿泊施設や観光施設などに従業員の手洗いや消毒の徹底を求めており、体調の悪い利用客がいれば施設間で情報を共有する方針だ。担当者は「できる対策をしっかりして感染防止に努めたい」と話す。

軽井沢プリンスショッピングプラザ(長野県軽井沢町)は1月中旬から2月上旬まで訪日観光客向けのセールを実施中。中国語のホームページは「恭賀新年」や「春節特売」などのフレーズが並び、歓迎ムードが漂う。

運営会社によると、春節期間中は多くの外国人ツアー客が買い物に訪れるといい、各店舗の従業員向けに書面で感染の予防を呼びかけた。担当者は「手洗いやうがい、マスクの着用などインフルエンザ対策と中身は変わらないが、従業員には通常時よりも一層注意するように心がけてもらいたい」と話した。

影響は国内のイベントにも広がっている。大分市は2月8日に市内で開く予定だった武漢市との交流イベント「武漢点心屋台村」の延期を決めた。

大分市の担当者によると、イベントは武漢市との友好都市締結40周年の記念事業の一環で、武漢市から料理人5人を招いて市民に料理を振る舞う予定だった。市民の安全確保に加え「感染が拡大し続けており、お祝いの事業のタイミングとしては適切ではない」(同市)と判断したという。

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2020-01-23 09:15:25Z
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