中国恒大集団の債務危機は中国の「リーマン・モーメント」ではないかもしれないが、その影響は同社や中国に関連した株式に波及している。
そうした銘柄リストの筆頭に挙がっているのは恒大の債権者と株主、サプライヤー、同業他社だ。中国の規制強化が続く中、同国でかなり稼いでいる企業も注目されている。また、米国の市場ウォッチャーは工業株を重視し、欧州勢は鉱業株に目を向けている。
恒大が破綻すれば金融市場に波及し、中国の経済成長が抑制される可能性があるとの懸念で、20日の世界株式相場は急落。その後、同社が一部人民元建て債の利払いで債権者と合意したことで不安はやや和らいだものの、ドル建て債の利払いでは沈黙を続けており、問題解決には程遠い状態だ。
トレーダーが注目する銘柄とセクターの一部は以下の通り。
同業の不動産開発会社
恒大の規模の大きさに中国政府の不動産セクターに対する規制強化が相まって、業界各社は引き続き大きな影響を受けそうだ。ゴールドマン・サックス・グループの試算では、恒大の資産は約2兆元(約34兆2400億円)と、中国の国内総生産(GDP)の2%に相当し、いかなる資産処分も市場の混乱につながる可能性がある。
恒大に何が起きるかにかかわらず、中国の住宅価格は現在「大きな下振れ」リスクにさらされているとシティグループは指摘した。
香港市場でハンセン不動産株指数は今月に入り5年ぶりの安値に下落。同指数を構成する12銘柄中、碧桂園(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は3月末以降25%下落し、中国海外発展は16%下げている。
銀行と投資家
トレーダーは不良債権や資産評価引き下げが急増する可能性を懸念しており、中国の不動産会社に融資や投資を行っている企業の株価は引き続き不安定な値動きとなりそうだ。
政策担当者は支援を提供する見込みだが、一部の銀行は犠牲となる可能性があるとシティのジュディ・チャン氏らアナリストは22日のリポートで予想した。
中国の銀行の高リスク不動産開発会社に対する融資エクスポージャーを巡るシティの分析で、中国民生銀行と平安銀行、中国光大銀行の信用リスクが最も高いことが示唆された。南京銀行と重慶農村商業銀行、中国郵政儲蓄銀行はそこまで脆弱(ぜいじゃく)ではないとみられている。
アジアのサプライヤー
恒大のプロジェクトに建築資材や電化製品を供給する業者については、恒大に対する債権の規模や同社の盛衰が経常損益にもたらす意味合いが注視されている。
恒大傘下の恒大物業の株価は年初から半減。電気自動車(EV)部門の中国恒大新能源汽車集団は90%余り下げており、引き続き警戒が必要だ。
米工業株
恒大の再編で世界2位の中国経済が圧迫されれば、最も景気に敏感でグローバル化された銘柄を通じて米国に波及効果が生じるだろう。米経済の健全性の指標としばしば見なされる工業株が最大の打撃を受ける可能性がある。
JPモルガン・チェースのアナリスト、スティーブ・トゥサ氏の試算によると、米工業企業の売上高のうち中国は約10%を占める。注目すべき銘柄は鉱業・建設機械メーカーのキャタピラーのほか、ゼネラル・エレクトリック(GE)、オーチス・ワールドワイド、ハネウェル・インターナショナルなど。
欧州鉱業株
欧州で、恒大危機は素材株全体に波及しつつある。
ブルームバーグの集計データによれば、中国が売上高全体に占める比率はBHPグループが62%、リオ・ティントは58%で、アングロ・アメリカンとグレンコアはほぼ半分に上る。ハイデルベルクセメントなどのセメントメーカーのほか、コネやシンドラー・ホールディングといった建材メーカーが、恒大破綻の影響を直接受ける可能性があるとリベラムのストラテジストは予想した。
原題:
A Global Equity Trader’s Guide for China Evergrande Debt Crisis(抜粋)
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiQ2h0dHBzOi8vd3d3LmJsb29tYmVyZy5jby5qcC9uZXdzL2FydGljbGVzLzIwMjEtMDktMjcvUjAyNDZBRFdMVTZBMDHSAQA?oc=5
2021-09-27 04:27:43Z
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