【ワシントン=河浪武史】バイデン米次期大統領が財務長官に指名したイエレン前米連邦準備理事会(FRB)議長は19日の上院委公聴会で「中国の不公正慣行は脅威であり、あらゆる手段で対抗する」と厳しい対中姿勢を示した。市場が注視する通貨政策に対しては「米国は競争的な通貨切り下げを志向しない。他国の為替操作にも反対する」と各国の通貨安誘導をけん制した。
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イエレン氏は19日、上院財政委員会の指名承認公聴会に臨んだ。同氏は中国を「米国にとって最も重要な競争相手だ」と指摘。その上で「不当廉売や貿易障壁、不平等な補助金、知的財産権の侵害、技術移転の強要など、中国の不公正な慣行は米企業の力をそいでいる」と厳しく指弾。「政権横断で、あらゆる手段を講じて対抗する」と強調した。
同氏はFRB議長として繰り返し議会証言に臨んだ経験があるが、これまで対中政策に深く言及したことはなかった。トランプ政権は制裁関税などで厳しい対中政策を敷いたが、バイデン次期政権は気候温暖化対策などで中国との協力も模索する。米議会は人権問題も絡んで対中強硬姿勢を一段と強めており、イエレン氏も厳しい発言で同調した。
市場はイエレン氏の基軸通貨ドルへの姿勢も注視する。同氏は「為替レートは市場が決めるものだ」と述べ、貿易相手国の通貨安誘導を「決して容認できるものではない」と強くけん制した。
経常赤字国の米国は、海外マネーを引き寄せるために「強いドルは国益にかなう」と歴代財務長官は繰り返してきた。イエレン氏は「米経済の長期的な強さと金融システムの安定の維持が、米国と諸外国の利益となる」と述べたものの「強いドル」と直接言及することはなかった。
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2021-01-19 19:37:30Z
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