米航空機大手ボーイングは25日、米西部ワシントン州で次世代大型旅客機「777X」の初飛行を行った。777Xは世界最大の双発ジェットエンジン旅客機で、ボーイングの長距離路線向けの主力機となる。小型旅客機「737MAX」の墜落事故で痛手を受けた同社の救世主となるか。
777Xは25日午前、ワシントン州エバレットの飛行場を離陸し、3時間51分飛行した後、シアトルの空港に無事着陸した。同機はゼネラル・エレクトリック(GE)製の新型エンジンのトラブルなどで開発計画が遅れていたが、初飛行の成功を受け、ボーイング民間航空機部門のスタン・ディール社長兼最高経営責任者(CEO)は「チームメートと世界中のパートナーの長年の努力と献身に敬意を表したい」とコメントした。
777Xは1990年代以降、大型旅客機でベストセラーとなった777シリーズの次世代機。最大座席数384の「777-8」と、同426の「777-9」の2機種があり、日米間など長距離路線に就航する。これまで計340機を受注しており、日本の航空会社では全日本空輸(ANA)が20機を購入する。
これまでの大型旅客機は、ボーイング747や欧州航空機大手エアバスの「A380」など4基エンジンが主流だった。一方、777Xはエンジン2基で、機体も軽量化するなどしたことで「燃費効率を約1割改善」(ボーイング)した。現行機種より全長と主翼は大型化したため、地上では主翼の先端を折りたたむ構造を採用した。川崎重工業など日本メーカーが主要部位の約21%を製造する。
米連邦航空局(FAA)の承認手続きを経て2021年中の納入開始を見込むが、小型旅客機「737MAX」が2度の墜落事故を起こした影響で、計画が遅れる可能性もある。FAAが安全審査を厳格化したほか、欧州航空安全庁(EASA)もこれまでFAAの安全審査を追認していた慣行を変更して独自に審査する姿勢を取っている。ボーイングの救世主としての期待を背負うが、各国当局の審査状況により納入時期がずれこむ可能性もある。【ワシントン中井正裕】
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2020-01-26 11:18:21Z
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