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あまりに安いドコモ新料金「ahamo」に残るサブブランドの痕跡(石川温) - Engadget日本版

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あまりの安さと内容の充実ぶりに度肝を抜かされたNTTドコモの新料金プラン「ahamo(アハモ)」。一見、サブブランドのように見えるが、NTTドコモでは頑なに「新料金プラン」で押し通している。

12月1日にNTTドコモの新社長に就任した井伊基之社長も「前任の吉沢和弘社長はサブブランドはやらないという強いポリシーを持っていた。ahamoはドコモが若い人に弱いので、どうしようかというので作ったものであり、サブブランドありきではない」と否定している。

しかし、どこをどう見ても、あちこちにサブブランドとして設計されたと思われる痕跡がある。ひとつひとつ、検証してみたい。

まず、発表会で紹介され、現在はYouTubeの公式チャンネルにあがっている動画がサブブランドを連想させる仕上がりになっている。

ahamoを紹介するコンセプトムービーなのだが「プランはたったひとつだけ。きちんとつながる安心品質」と言っている。フォトセッションで井伊社長が持っているパネルにも「WEBでサクッと契約、わかりやすい1プラン」という文言がある。

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そもそも、NTTドコモの料金プランであれば、なぜ「たったひとつ」という言い方になるのか。しかも、料金プランであれば、改めてネットワーク品質に触れるのも不自然だ。

また、ドコモユーザーの場合、来年3月から5月にかけて、ahamoを契約しようとするとドコモの契約を解約、MNPする手間が存在する。解約金や手数料の負担はないが、なぜプラン変更なのに、他社のサブブランドと同様に解約やMNPの手続きが必要になるのか。

細かい話にはなるが、ドコモからahamoにプラン変更すると、契約年数がゼロにリセットされてしまう。ahamo自体に家族割引がないのは理解できるが、家族のなかでahamoユーザーがいても、複数回線のカウント対象にはならない。現在、ドコモでは「みんなドコモ割」として、3回線の契約でそれぞれ1000円が割り引かれるようになっている。3人家族でみんなドコモを使っていればそれぞれ1000円が割り引かれるが、一人がahamoになってしまうと、対象が2回線となり、それぞれ500円しか割り引いてくれない。これも、ahamoが料金プランではなく、サブブランドとして扱おうとしていたからではないか。

さらにahamoが扱う端末ラインナップは、NTTドコモのものとは別となっているようだ。発表会では「特に人気の高いスマートフォンを提供予定」とあるが、iPhoneシリーズが使えるかどうかの言及はされていない。

そもそも、docomo.ne.jpのメールアドレスが提供されないこと自体、「ドコモの料金プラン」と言い切るのがおかしい。

また、プレゼン資料では、アンテナピクトの表記が「ahamo」になっていた。料金プランを変えると、アンテナピクトの表記が変わるなんて、聞いたことがない。ただ、表記に関しては「今後、変更される可能性がある」(関係者)としており、サービス開始時には「docomo」になる可能性もありそうだ。

武田総務大臣を納得させる苦肉の策か

NTTドコモがここまでサブブランドではなく「料金プラン」にこだわるのには、武田良太総務大臣につるし上げにされないための配慮がありそうだ。

KDDIとソフトバンクが政府からの値下げ要請に対して、UQモバイルとワイモバイルで新料金プランを発表した際、武田総務相は「サブブランドの値下げは羊頭狗肉。メインブランドで値下げしないのは問題だ。電波は国民の財産であり、誠意を見せろ」と記者会見で激高した。

武田総務相としてはメインブランドからサブブランドに移行する際、最大で1万5500円の手数料がかかり、これでは乗り換えが進まないと問題視している。一方で、サブブランドからメインブランドに乗り換える際には無料でできることがあり、武田総務相は「金儲けは許さん」と指摘する。

NTTドコモとしては、本来であれば、ahamoをサブブランドとして新設し、メインであるNTTドコモからの移行には手数料や解約手続きなどを挟むことで、大量に移行しないようなストッパー的な役目を果たせると期待していたであろう。しかし、総務省では「アクション・プラン」として、MNP手数料の無料化などを進めることで、乗り換えしやすい環境を整備しようとしている。いずれ、こうした手数料を撤廃せざるを得ないのであれば、NTTドコモとしては先駆けて、そうした手数料を無料化。ストッパー的な役目を果たせないのであれば、いっそのこと、サブブランドではなく、メインの料金プランということにしてしまったのかも知れない。

確かに「サブブランドではなくメイン」ということにすれば、武田総務大臣も納得。また、「日本の携帯電話料金は高い」という根拠となっている、総務省のよる6ヶ国の通信料金比較「電気通信サービスに係る内外価格差調査」では、「各国のユーザーシェアが高い事業者のメインプランでの料金プラン」で比較されている項目がある。今回、これまではNTTドコモの8175円が世界一、高い料金プランとなっていたが、ahamoの2980円プランを登場したことで、世界で2番目に安い国になってしまった。

ただ、ahamoをメインブランドの料金プランとしたことで「なぜ、ドコモショップで契約できないのか」「ドコモショップでサポートをお願いしたい」と顧客が店頭に殺到する可能性もある。

果たして、サブブランドではなく、武田総務相の激高だけで、直前になってメインブランドの料金プランとして発表したことが、NTTドコモにとって本当に良かったことなのか。来年3月からのサービス開始後にその評価が下されそうだ。

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2020-12-04 11:29:33Z
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