NTTは29日、NTTドコモを株式公開買い付け(TOB)を通じて今期(2021年3月期)中に完全子会社化すると発表した。両社が同日開いた取締役会で決定した。次世代通信規格「5G」の垣根を越えた活用や5Gの次の世代の通信技術開発に取り組む必要があり、ドコモを完全子会社化することで意志決定のスピードを速める。
発表によると、1株当たり3900円、総額は4兆2545億円で一般株主が持つ約34%のドコモ株を取得し子会社化する。価格は28日の終値2775円に41%のプレミアム上乗せした水準。買収規模は日本企業のTOBでは過去最大となる。NTTは現在ドコモ株の66.21%を保有している。NTTの筆頭株主は財務省で34.69%(3月31日時点)を持つ。
TOBの詳細 |
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今後少数株主の利益を損なうような先行投資などを行う必要が生まれる可能性があり、ドコモが上場を続けていては迅速な意志決定が難しいとし、完全子会社化して親子上場を解消する必要があると判断。4月中旬に買い付けの検討を開始し、6月上旬にドコモ側に協議を申し入れていた。
NTTの澤田純社長は発表後に都内で会見し、米国や中国の製品が市場を席巻しており、「新たなゲームチェンジを起こしたい。世界に対してわれわれが引っ張っていけるようなグローバルなサービスやソリューションを提供したい」と話した。また、TOB資金については「金融機関からのブリッジローンにより調達し、順次長期資金に切り替える予定」と説明。普通株式の新規発行による資金調達は行わないと述べた。
料金引き下げ要請
菅義偉首相は、日本の情報通信技術(ICT)の国際競争力強化を新政権の課題に掲げ、デジタル庁を創設する方針を打ち出している。携帯電話料金の引き下げについても、官房長官時代から諸外国の例を参考に早期の引き下げの実現を目指しており、18日には武田良太総務相に指示した。
ドコモ株は29日、前日比16%高の3213円で取引を終えた。この日は9月中間配当の配当の権利落ち日の影響もある中、NTT株は一時5.8%安、携帯事業で競合するソフトバンクは6%安、KDDIも5.3%安となった。
ジェフリーズ証券のアナリストのアツール・ゴヤール氏は28日付のリポートで、完全子会社化すればドコモにとっては有利だが、短期的には携帯料金の値下げのリスクが高まるため、競争相手のKDDIとソフトバンクにとっては不利になると指摘した。
シティグループ証券のアナリスト、鶴尾充伸氏はリポートで、NTTが時価発行増資により資金を調達することは難しいとし、TOBの資金は全額手元資金と借り入れで賄うことになりそうとの見解を示している。法律では電気通信の安定性の観点から、NTTの発行済み株式3分の1以上を政府が保有することが定められている。
ドコモの株価は前首相が8月に辞意を表明し、後任として菅氏が有力候補として取り沙汰されたのに合わせて下げ足を強め、9月18日には終値ベースで約1年ぶりの安値を付けていた。
ドコモはNTTの屋台骨を支える収益の柱となっており、4-6月期には営業利益の56%を稼いだ。完全子会社化することで貢献の割合をさらに引き上げることができる。ドコモは1991年8月に設立、98年10月に東証1部に上場した。
(発表の詳細を加えて記事を更新します)
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2020-09-29 06:47:00Z
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