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中国、預金準備率下げ 企業の資金繰りに危機感 - 日本経済新聞

【北京=原田逸策】中国人民銀行(中央銀行)は1日、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す「預金準備率」を0.5%下げると発表した。6日から実施する。大手銀行の標準的な準備率は12.5%になる。民間企業や中小零細企業の資金繰りの悪化を和らげる。1月下旬の春節(旧正月)休暇を前に資金需要が高まるのに対応するねらいもありそうだ。

引き下げの狙いは2つある。まず、民間企業や中小零細企業の資金繰りを支えることだ。

人民銀に預けるお金が減って手元資金が増えるため、市中銀行は貸し出しなどに回しやすくなる。人民銀によると今回の下げで8千億元(約12兆5千億円)の資金が放出される。中小零細企業との取引が多い農村商業銀行、小規模の都市商業銀行などだけで1200億元も手元資金が増える。

中国では17年に本格化した債務削減に、貿易戦争による景気減速が重なり、民間企業や中小零細企業の倒産が急増している。19年の社債の債務不履行額は1600億元と過去最高を更新したがこの大半は民間企業だ。

清華大学経済管理学院の白重恩院長は「中国の金融システムはもともと中小企業を支えるのが不得手だった。金融機関への監督強化の副作用で、ここにきて民間企業、とくに中小零細企業がさらにお金を借りにくくなっている」と指摘する。

もう1つの狙いは春節への対応だ。春節休暇には多くの人が買い物や旅行をするため、春節前に預金者が多くの現金を引き出し、銀行の流動性は逼迫しやすい。今年の春節休暇は1月下旬と例年より早く、金融市場では「1月には2兆元規模の資金不足が発生する」との見方が出ていた。

中国の銀行の貸し出しには季節性があり、例年1月の融資額が圧倒的に多い。銀行がこの時期に流動性に不安を抱えていると、中小企業への貸し渋りや貸し剥がしを招きかねないとの懸念もあったとみられる。

人民銀行は1日の公表文で「銀行システムの流動性の総量は基本的に安定しており、決してバラマキではない。穏健な金融政策の方向性は変わっていない」とわざわざ強調した。景気減速が強まるなか、量的緩和など極端な金融政策を求める金融市場をけん制したものとみられる。

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2020-01-01 09:53:18Z
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