トヨタ自動車は9月7日、カーボンニュートラルへ向けた2030年までのトヨタの電池戦略を説明する「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」を開催した。その中で、世界初となる全固体電池搭載車両でナンバーを取得して、試験走行を開始したことを紹介するとともに、全固体電池については特性を考えてハイブリッド車から投入することを明らかにした。全固体電池の投入スケジュールは2020年代前半から変わらないとしている。
同説明会では、トヨタ自動車 Chief Technology Officerの前田昌彦氏がプレゼンテーションを行ない、将来の電池コストの目標について、2022年央に導入予定の新型EV「TOYOTA bZ4X」と比較して、2020年代の後半に50%低減を目指す(台当たり)とともに、電池の供給体制として現在検討している180GWhから200GWh以上を目指すことを明らかにした。これにより、電池の供給体制の整備と研究開発の投資額は2030年までに約1.5兆円になると見込みという。
その中で、全固体電池の開発状況について、2020年6月に全固体電池を搭載した車両を製作しテストコースで走行試験を実施し、車両走行データを取得できる段階に来たことを報告。そのデータをもとに改良を重ね、2020年8月には全固体電池を搭載した車両でナンバーを取得し、試験走行を行なったことを明かした。前田氏は「全固体電池では、高出力、長い航続距離、充電時間の短縮、などの嬉しさが出せないか、と開発しています」との印象を話した。
また、前田氏は「開発の中で分かってきたことがあります。全固体電池は、イオンが電池の中を高速に動くため高出力化に期待できます。そこでHEVにも適用して全固体電池の良さを活かしていきたいと思います」と、開発への意気込みを述べるとともに「一方、寿命が短いという課題も見つかりました。これらの課題を解決するためには、引き続き固体電解質の材料開発を主に、継続していく必要があると考えています。課題が見つかったことで実用化に一歩近づけたという想いもあります」とコメントした。
そして、目指すべき2050年のカーボンニュートラルに向けて、前田氏は「今後、継続的に各地域のエネルギー事情やインフラ、お客さまの感性、利便性への要求は変わっていくと考えられます。電動車において、クルマと電池は切り離せるものではなく、1997年から電池のグループ内生産に拘り、HEVだけでも1810万台を導入してきたトヨタは、電池開発をグループで取り組んできた自動車メーカーであり、不確定な電動車の未来にも、確かなステップで前へ進んでいきたいと考えています。未来にサステナブル&プラクティカルに適応していくためには、トヨタは、変化への適応力、自らの競争力を高め、もっといい電動車の本質的普及を目指し、カーボンニュートラルに貢献していきたいと考えます」との意気込みを述べた。
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2021-09-07 07:26:00Z
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