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EV新時代へ脱皮急ぐ アイシンとAWが統合へ - 日本経済新聞

アイシン精機は、子会社で自動変速機(AT)を手掛けるアイシン・エィ・ダブリュ(AW)と経営統合する。電気自動車(EV)の普及が見込まれる「CASE」時代を迎え、主力のATの需要は急減するとも言われる。電動車用駆動装置などの新製品を開発し生き残りに向けた電動化対応を急ぐ一方、基盤強化のため両社は経営統合を選び、効率化を加速する。

アイシングループは人の動きに合わせて自動で動作するドアやシートを開発している

アイシングループは人の動きに合わせて自動で動作するドアやシートを開発している

「中国市場が落ち込んだことで危機感につながり、AWの社員にとって統合を納得してもらいやすいタイミングだと判断した」。31日に名古屋市内で開かれた記者会見で、アイシン精機の伊勢清貴社長はこう述べた。

アイシンAWは2005年にATを500万台以上販売して以来、世界シェア首位を維持する。ただ中国を中心にAT販売が急減速したことで、2社統合を促した。AWは18年12月に岐阜県瑞浪市でATの新工場を稼働させており、AT不振は業績を下押しする。19年度のAT販売台数は前年度実績比7%減の925万台と予想する。

業績面では「親子逆転」の状態が続く。親会社のアイシン精機と18年度を比べると、AWの売上高は1兆6800億円で親と肩を並べ、営業利益では1036億円と大きく上回る。

この2社の統合は長年の懸案だった。世界首位の業績もありAWは「独立心」が強く、「勢いがあった時は言うことを聞かなかった」(アイシン精機幹部)。それでも管理部門の役割が2社で重複していたり、新卒採用を巡る幹部の不祥事が明らかになったりと、無駄の多さやガバナンスの欠如が目立っていた。管理部門の効率化で23年度で300億円のコスト削減効果を見込む。

アイシングループはこれまでも17年に組織に仮想的な横串を刺す「バーチャルカンパニー(VC)制」を導入するなど再編を進めてきたが、伊勢社長就任以来、再編の勢いが増している。19年4月にはAWと、手動変速機(MT)製造のアイシン・エーアイを統合、10月にはグループ内の車載ソフトウエアを開発する2社を統合した。

開催中の東京モーターショーでアイシングループは、自動運転時代を見据えドライバーの動きを骨格で検知する「ドライバーモニターシステム」を国内で初めて公開した。4月にはデンソーと電動車向けの駆動用装置「イーアクスル」を開発・販売する新会社ブルーイーネクサス(愛知県安城市)を設立。20年にEV向け駆動装置の量産を始め電動化を急いでいる。

アイシン精機はEV普及で電動化が進んでも変速機の需要は一定程度残ると試算する。EVでも変速機を使って効率的な車の開発につなげる流れも出てきているが、変速機の市場環境は激変する。変化に対応できるよう経営統合などの手段もいとわず進化を目指す。

 アイシン・エィ・ダブリュ(AW) 世界首位の自動変速機(AT)メーカー。1969年にアイシン精機と米部品メーカー、ボーグ・ワーナーとの合弁会社として発足した。その後87年の合弁解消に伴い、社名にはアイシン・ワーナーの頭文字「AW」を残した。今年は創業50周年を迎えた。カーナビゲーションシステムの開発も手掛け、世界上位のシェアを持つ。

(広沢まゆみ)

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51649480R31C19A0L91000/

2019-10-31 11:42:10Z
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