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消費増税まであと1カ月 8%or10%どっち? 異なる税率、新制度の要点(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 10月1日の消費税の増税まであと1カ月に迫った。同日午前0時をもって、税率が8%から10%に引き上げられる。平成元年4月に税率3%で始まった消費税は、9年4月に5%にアップ。26年に8%へと引き上げられ、10月から初めて2桁の時代に入る。あわせて生活必需品として扱われる飲食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」を導入。これにより、スーパーやコンビニなどの小売店でも税率が異なる商品が並ぶことになる。制度を理解する勘所を探った。

【表】キャッシュレス決済によるポイント還元のイメージ

 ■食べる場所が… 持ち帰り→8% 店内→10%

 軽減税率は「外食と酒類を除く、飲食料品」に適用する。家計の苦しい世帯の負担を減らすため、生活に必要な商品の税率は低く抑えようとの発想から導入が決まった。しかし、店舗の形態はさまざまで、標準税率の10%を課税する「外食」が何にあたるのか、線引きが必要になった。そこで、国は税制上の外食について、「テーブルや椅子、カウンターなどの飲食に用いられる設備のある場所で行う、飲食させるサービス」と定義した。「飲食設備」の使用の有無とサービスの内容で、ふるいに掛けたわけだ。

 スーパーで買った弁当や飲料の税率は8%だが、店内の「イートインコーナー」(食事場所)で食べれば10%がかかる。これは、「飲食設備」での食事とみなされ外食になるためだ。コンビニ大手は、客から「イートインを使う」との申告があれば、10%税率にする方針だ。

 椅子を置いていない立ち食いそば、料理をトレーに乗せて自分で運んで食べるショッピングセンターなどの「フードコート」も外食になる。

 カラオケボックスは歌う場所だが、料理メニューなどが備えられているため外食に該当。観光列車の食堂も飲食店と同じ扱いだ。

 一方、飲食店で購入した「持ち帰り用」(テークアウト)や「出前」の料理には軽減税率が適用される。

 例えば、回転すしチェーンで、持ち帰り用に折り詰めにしてもらったパック、ピザの宅配は8%の税率にできる。

 映画館の売店で買ったジュースやポップコーンを観客席で食べるのは、飲食設備の提供を受けていないとし軽減税率。列車内で買ったワゴン販売の商品も座席で食べれば、同じ扱いだ。

 ただ、同じ商品なのに、支払う代金が違うことに消費者には混乱が起きる可能性がある。そこで、外食と持ち帰りの価格をそろえる方針を決めた企業も出てきた。「ケンタッキーフライドチキン」を運営する日本KFCホールディングスは、税抜きの本体価格を調整し、店内飲食と持ち帰りの「税込み価格」を一律にして販売する方針だ。

 実際の販売価格の設定や対応の仕方は、企業の経営判断で分かれそうだ。

 ■ラベル注意 ノンアル→8% 酒類→10%

 アルコールが1度以上の酒税法上で規定されたビールや焼酎などの「酒類」は、軽減税率の対象外で、標準税率の10%がかかる。ラベルや形は同じように見える商品でも、材料や用途で税率が異なる。

 風味が近くても、「ノンアルコールビール」や「ノンアルコール酎ハイ」は酒ではないので、軽減税率の8%。アルコールが1度未満の甘酒、煮物料理に使う「みりん風調味料」、塩などを加え飲用に適さないようにした料理酒も8%になる。

 飲用として売られるミネラルウオーター、ウイスキーに浮かべたり、かち割りにして食べたりする氷は8%。しかし、衣類の洗濯、風呂、洗車と幅広く使われる水道水、保冷用氷やドライアイスは10%課税になる。

 あくまで、酒を除き、人が口にする飲食料品が、軽減税率の対象になるところが勘所。主に食品表示法に規定された食品に該当する。カツオの魚肉で作ったものでも、ペットのネコやイヌ用の餌は10%だ。鮮魚店で販売される活魚は刺し身にして食卓にあがるので軽減税率だが、生きた魚でも観賞用の熱帯魚や金魚などは対象にならない。

 飲食料品以外では、週2回以上発行されている新聞は、定期購読契約が結ばれていれば、軽減税率が適用される。一方、駅の売店などで買う場合や、新聞社が提供する電子版の契約料は10%だ。

 ■ポイント還元 来年6月まで 最大5%、国が補填

 ◆還元されない店も

 消費税増税に合わせて、中小事業者の店で主に使える「キャッシュレス・消費者還元事業」が始まる。東京五輪開幕前にあたる来年6月末までの期間限定。クレジットカードや電子マネーなどで代金を支払うと、ポイントが付与されたり、値引きされたりする。ポイント分は国の財源で補填(ほてん)する。景気刺激と、現金を使わず支払いをするキャッシュレス化を推進する狙いだ。

 店側は、カードやQRコードを読み取るキャッシュレス決済の機器を備え、制度の登録申請をする必要がある。8月21日時点で登録済みの加盟店は約18万4千店にのぼる。対象になるには小売業の場合だと、「資本金5000万円以下か、従業員数が50人以下」といった条件がある。大企業は制度が使えない。

 中小事業者の店で買い物をすれば、代金の「5%」分が還元される。コンビニ大手などの傘下にあるフランチャイズ(FC)加盟店では「2%」分が還元される。コンビニ本社の直営店では自社で2%分のポイントを付け、還元率をそろえる。

 一方、制度のポイント還元がされない商品やサービスもある。換金性の高いプリペイドカードや商品券、病院の診察料、学校の授業料。減税措置のある新築住宅、自動車もポイント還元の対象外だ。

 ◆現金払いではダメ

 ポイント還元のされ方は、値引き、ポイント付与、チャージ(入金)といった方法がある。店舗によって対応は分かれるが、現在の税率8%のときと商品の税引き価格が同じであれば、ポイント還元により、仕組み上は増税の負担は軽減できる。

 例えば、税抜き価格1000円の日用品を購入すると、9月30日までは8%の消費税率がかかり、支払いは1080円。10月以降は10%になるので、税込み1100円の価格になる。そこから、5%相当にあたる55ポイント(1ポイントあたり1円)が値引きされると、1045円の出費ですむ計算だ。

 セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社は、2%相当を支払い時に差し引く実質的な値引きを実施する。クレジットカード大手も、値引きの対応で追随する構えだ。

 ポイント付与とチャージは、次の買い物のときなどに使えば、支払額を安くできる。いずれの方法でも、制度の利用にはキャッシュレスでの支払いが必要だ。

 ■国税庁などHPや窓口開設

 消費税の制度を周知するために、政府はホームページ(HP)で情報を発信している。国税庁のHPでは、軽減税率が適用される事例を紹介した「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」を公開。ポイント還元の加盟店審査を通過した事業者(キャッシュレス・消費者還元事業登録加盟店)は、キャッシュレス・消費者還元事業専用サイトで閲覧できる。専用ダイヤルで、消費者の問い合わせに応じる態勢もとっている。

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2019-09-01 07:00:00Z
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