【シリコンバレー=佐藤浩実】様々なオンラインゲームを遊べる米国発のサービス「Roblox(ロブロックス)」の運営会社が10日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。小学生らに人気の同サービスは遊ぶだけでなく、自らゲームを作れるのが特徴だ。「ゲーム版のユーチューブ」として注目を集め、時価総額は382億ドル(約4兆1400億円)に達した。
ロブロックスは新株を発行しないダイレクトリスティング(直接上場)の形式で上場した。初値は64.5ドルで、取引所が事前に示す参考価格(45ドル)を43%上回った。10日午前には約960 人の従業員らがNYSEの立会場を再現したロブロックス上の仮想空間に集い、上場を見守った。
カリフォルニア州に本社を置くロブロックスは2004年に、現最高経営責任者(CEO)のデービッド・バズッキ氏らが設立した。利用者は徐々に増えていたが、成長の速度が跳ね上がったのは20年だ。新型コロナウイルスの感染拡大で学校に通えなくなった子どもたちが友達と交流するため、ロブロックスに集った。
20年は1日あたりの平均利用者数が3260万人と前年比で85%増え、総利用時間は2.2倍の306億時間に膨らんだ。ロブロックスはゲームで使うアバターの衣装の販売で収益を得ており、20年12月期通期の売上高は9億2388万ドルと前の期比82%増えた。
コロナ下では多くのオンラインゲームが利用を伸ばした。ロブロックスが他のサービスと異なるのは、利用者はゲームを遊ぶだけでなく、作り手にもなれる点だ。開発者は現金に交換可能なデジタル通貨を稼ぐことができ、プレーヤーは常に新しいゲームを楽しめる。「ゲーム版のユーチューブ」と呼ばれるゆえんで、ロブロックスはゲーム作成ソフトを無償提供して活性化を促している。
21年はワクチン接種の進展に伴って学校の再開が進むため、利用者や売り上げの増加ペースは停滞する見通しだ。それでも多くの投資家が注目するのは、将来的にゲームにとどまらない仮想世界での交流を支える基盤に育つ可能性があるからだ。
バズッキCEOは自社を「メタバース(仮想世界)の羊飼い」と説明し、コンサートやパーティーといった様々な共同体験ができる仮想世界の基盤に脱皮する考えを示す。実現できれば利用者の裾野は大きく広がり、仮想世界のなかでの経済活動も活発になる。かつて「セカンドライフ」で一世を風靡した米リンデンラボのエッべ・アルトバーグCEOは「ロブロックスはメタバースの実現にもっとも近い会社の一つ」と言う。
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とはいえ、ロボロックスはまだ利益が出ていない。20年の最終損益は2億5325万ドルの赤字(前の期は7096万ドルの赤字)だった。利用者の54%が13歳未満のため、支払い能力が高い大人のプレーヤーが多い他のゲームと比べて収益化が難しいとの指摘がある。
当面はアバターの種類を増やしたり、高度なゲームを開発しやすくしたりして、利用者の年齡層を広げる考えだ。バズッキ氏は「じきに利用者の過半数が13歳以上になる」と言う。ゲーム内で交わされるヘイトスピーチへの監視体制を強化する方針も示している。
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2021-03-10 22:41:45Z
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