ソフトバンクが出資するスマートフォン専用の証券子会社は、1000円で新規株式公開(IPO)株に投資できる仕組みを開発中だ。金額指定でのIPO投資は世界で初めて。成長が見込まれる企業の経営に誰でも、手軽に参加できるようになる。
One Tap Buy (ワンタップバイ、東京・港区)の内山昌秋社長がブルームバーグの取材で明らかにした。金融当局の承認を得た上で、2019年度中の導入を目指しており、個人投資家の裾野拡大につなげたい考えだ。
内山社長は「物を買うときも車にガソリンを入れるときも、グラム指定より金額指定の方が良い。投資家が知りたいことはただ一つ、1000円投資していくらもうかったのかということだ」と述べた。この仕組みが浸透すれば、「マーケットは本当に変わっていく」と語った。
既に市場で取引されている日米主要企業の株式に1000円から投資できる仕組みは導入済み。スマホを使う少額投資サービスは競合他社も提供し始めており、LINEと野村ホールディングスが出資するLINE証券は20日、メッセージアプリを利用する投資初心者を対象に国内株や上場投資信託(ETF)の売買取り次ぎを開始した。
IPO株についてワンタップバイは現状、委託販売の形態を取っているが、将来的には引き受け業務ができる体制を整え、3年程度で当局から認可を得たい考えだ。7月末時点で15万ある口座数は、21年3月までに30万口座に倍増させるとしている。
さらに内山社長は「ソフトバンクの子会社である限り、ユニコーンを目指す」と表明。今後3年から5年をめどに企業価値を1000億円規模に高め、上場することを計画している。システム投資や人材確保のため、今年度内に25億-30億円の増資を計画していることも明らかにした。
新たな個人投資家層の開拓については、ホームページを既存の証券会社にありがちな銘柄紹介にとどまらず、人工知能(AI)の活用で金融とエンターテインメント性を融合させた内容に発展させていく方針だ。例えば、著名政治家とタレントの結婚が話題になれば、人間では気付きにくい銘柄と材料との相関を瞬時に発見し、顧客に提供することなどを想定している。
ワンタップバイは16年に開業、ソフトバンクが株式の46%、みずほ証券が13%を保有している。内山社長は日興証券(現SMBC日興証券)やアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経て、岡三オンライン証券などの役員も歴任。16年にワンタップバイに入り、今年7月に社長兼最高経営責任者(CEO)に就いた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-21/PW7Q3V6S972L01
2019-08-21 23:36:00Z
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