10月に予定される消費税増税前の駆け込み消費が、一部高級品で起きている。顧客の注文を受け生産する商品は、引き渡しに3カ月ほどかかることが多いため、今のうちに購入を決めないと10月以降の引き渡しとなり、増税で割高となるためだ。百貨店やメーカーは、駆け込み需要を逃すまいと対策に着手。一方、「今だけお得」などと駆け込み需要をあおり、事実と異なる宣伝をした場合、行政処分の対象になり得るため注意が必要だ。
■高額商品に殺到
西武池袋本店(東京都豊島区)は例年7月に開催する高額家具催事「ブランドファニチャーフェア」の日程を、先月22~26日に約2カ月前倒しした。受注生産が中心の高級輸入家具は注文から納品まで平均3~4カ月かかり、消費税増税の影響を受けるためだ。
また高額な商品の方がより節税効果が高いため、1千万円を超えるイタリア製の仏壇を筆頭に、高額商品の品ぞろえを厚くした。メーカー側も、イタリアの高級家具「カッシーナ」が、一部商品の在庫を積み増して短納期に対応できる態勢を敷くなど、駆け込み需要に備えた。
晴れ着も駆け込み需要にわいている。東武百貨店池袋本店(豊島区)では、通常秋頃からの購入が多い成人式用の振り袖の売り上げが、今年1~4月で前年比3倍超に。特に200万円を超える高額品の売れ行きが好調という。日本橋高島屋(中央区)でも、4月末からの大型連休中の晴れ着の売り上げが、前年同期比5割増となった。
ランドセルメーカーの協和(千代田区)でも、色やデザインなどの好みを受けて職人が仕上げるオーダーメード商品(6万円台)の注文が相次ぐ。例年は秋口に注文が多いが、納入まで2~3カ月かかるため、増税前に引き渡しを受けようとした動きだ。
■「やり過ぎ」は違法も
消費税増税前の駆け込み需要をねらった商戦の盛り上がりは、増税前の駆け込み需要を抑制し、増税後の消費の落ち込みを最小限にとどめようと考えている政府とは逆行する動きだ。このため、「やり過ぎは禁物だ。今年は消費者庁も目を光らせている」と、財務省の幹部は牽制(けんせい)する。
景品表示法では、有利であると誤認させる表示で不当に顧客を誘引することを禁止している。増税前に「今だけお得」と宣伝して増税後も同じ価格で販売を続けた場合などは、同法に違反する可能性がある。
消費者庁によると、違法と判断された場合は表示を取り下げるよう「措置命令」が下されるほか、不当表示で得た売り上げの3%を「課徴金」として納付する必要が生じるという。
特に政府は今回の消費税増税では、増税前後の消費を平準化させるため、増税後にキャッシュレス決済に伴うポイント還元策を実施するほか、住宅や自動車の購入に対する税優遇措置を実施。増税後の方が“お得”となる場合も少なくなく、安易に増税前の方が有利だと宣伝すると、法律に抵触する可能性がある。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190602-00000533-san-bus_all
2019-06-02 13:03:00Z
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